轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
「気取って言ってるのさ」
若紫は笑って、
「四郎さんじゃしょうがない。いい子がいるわよ」
「いや、俺は……」
「あたしに遠慮することないわ」
「遠慮じゃないが――仁義かな」
そのいい子を風巻に世話してくれと言って、
「タタミ屋さんはどうしたんだい」
「内地よ」
「一緒じゃないのか」
「別れたわけじゃないわよ」
「そいじゃ、左うちわだな」
「左うちわにしてあげたいと思ってるのさ」
この若紫から俺は、世帯を持ちたいと言われたことがあるのだ。その俺はこのとき、なんと言うか、ひどく感動していた。哀れなガセビリたちを搾取している女郎上りのピー屋の女将を前にして、感動なんて言うのはおかしいかもしれないが、事実だった。生命の躍動と今し方俺は言ったが、ここでは――俺の気持をうまく言い現わせないが、生命そのものに何か感謝したいような気持なのだった。
――もうひとり意外な人物に俺は会った。玉塚英信だ。従軍作家として中国に来ているとは、金原からすでに聞いていたから、意外とは言えないのだが、前線でばったり会おうとは思わなかった。
「こんなところで会おうとは意外だな」
と言ったのは、俺でなく、玉塚のほうだ。