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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

みなまで言わせず、

「そんな話は、あとで……」

クララは俺にその身を投げかけてきて、俺の唇をもとめた。俺はクララの背に手を回して、その唇を吸った。

クララはつめたい肌をしていた。いつもそうなので、俺が抱いていると、その肌がすぐ暖かくなり、しっとりと汗ばんでくる。俺の身体が熱いせいではなくて、クララの身体が、しんは熱いのだ。そのくせ、抱かれる前の肌は、ひやりとしている。クララのこんなところまでが、俺を夢中にさせたのだ。

その日は特にまた、俺をいよいよ夢中にさせずにはおかないクララだった。商売女が客には許さないサシコミ(接吻。サシミより下品な隠語)を、クララが俺に許したことは前に言ったが、まだひとつ、許さないことがあった。許しているようなふりをして、実はそれはうそだ、ガセだと俺は知っていた。下手な奇声を発したりして、技巧としても下手だと知っていたが、毎日、たくさんの客を取っている身なのだから、それを責めてはむごいと俺は黙っていた。

それを今日は、ほんとに許したのだ。クララが俺を好きだと言ったのは、ほんとなのだと俺は感激した。

「照ちゃん、俺と結婚しよう」