轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みずぐるま

みずぐるま

山本 周五郎

「面白倶楽部」大日本雄辯會講談社、1954(昭和29)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,077 字 · 54 页

青空文庫

若尾は頭を垂れた。和次郎は続けた。

「まして私は男だ、仮に妻の素性のことが問題になったとしても、その処理をするくらいの力は私にだってあるよ、そう思わないかね、若尾」

「悪うございました」と若尾がうなだれたまま云った、「わたしが悪うございました、堪忍して下さい」

そして薙刀をそこへ置き、端折っていた着物の裾をおろした。力のぬけたような動作で、鉢巻をとり襷をとりながら、若尾はぽろぽろと涙をこぼした。

「では、ゆこう」和次郎が云った、「駕籠が待たせてあるから、泣くなら駕籠の中でお泣き」

若尾は涙を拭きながら親方を見た。

「そのままおいで」と親方はその眼に答えて云った、「みんなに会うことはない、みんな知っているよ」それから首を振ってこう云った、「もう二度と軽はずみなことをするんじゃあないよ」

若尾は泣きだしながら頷いた。和次郎は寄っていって、その肩へ手をまわし、抱えるようにして小屋の表のほうへと伴れだした。小屋の中では賑やかな鳴物の音と、喝采する客のどよめきが聞え、木戸口では呼び込みが景気のいい叫び声をあげていた。

若尾は駕籠の中で泣いていた。

「ひどいことを仰しゃるわ、あの方」