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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

例えば哲学上のプラトン主義は常に何かの形をとって思想の歴史の上で回帰して来る。だがプラトン自身の体系がそのままの形を以て回帰して来ることは出来ない。哲学が螺旋状をなして進歩する所以である。又例えば観念論は螺旋の反対の極に立つ唯物論と対立する。二つは相互に否定し合う。哲学の進歩が全体として、図式的に、優れて弁証法的である所以である*。――実証科学は然るに必ずしもそうではない、そこでは同一主義の学説が回帰するとは考えられず、又は事実回帰すると考えられるような場合があっても、その回帰は哲学に於てのような重大さを持つとは思われない。実証科学の進歩が云わば直線的な所以である。その限り実証科学に於ては、対立と否定とがそれ程著しい役割を果さない、何となれば対立や否定は常に前のものの正統的発展――修正――の外形の下にも行われることが出来るからである。哲学が優れて革命的であるに反して、実証科学がそれ程に革命的――弁証法的――でない所以である。寧ろ之は改良主義的な外貌を有つことも出来るだろう**。――この区別は決して軽視すべきではない。

* 哲学の著しい政治的性格・党派性は、この螺旋の切線のヴェクトルを考えて見ることによって、画に書くことが出来る。