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イデオロギーがいろん
イデオロギー概論
戸坂 潤
第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页
処でパレートにあっては、イデオロギーは単に主観的な政策であって、歴史的な政治的性格を有つ理由はまだ何処にもなかった。イデオロギーの論理的性質は、であるから、至極表面的なものに止まらざるを得なかったことは当然である。実際パレートは、どのようなイデオロギーがより虚偽であり又はより真理であるかを吾々に説明しない。どのイデオロギーも単に一個のイデオロギーとして、斉しく真理の仮面をかぶった仮象に過ぎないことを吾々は彼から聞くに過ぎなかった。イデオロギーの優劣を組織的に決定し得るような政治的標尺は問題となり得なかったからである。論理の問題を取り扱い得たように見えたパレートの知識社会学は、ただ最も表面的な論理の問題を取り上げたに過ぎなかった。
この不充分さは併しながら、初めから寧ろ当然だったのである。歴史的原理にまで多少とも近づくかのように吾々には見えた彼の実践の概念は、彼自身にとっては実は、歴史的原理の積極的な反対物でしかなかった。実践とは単なる――行動主義的な――行為にしか過ぎず、政治――この歴史的なるもの――などでは到底あり得なかった。歴史は永劫の非歴史的な回帰である、歴史は歴史ではない。