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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

この点での実証的精神はコントの歴史哲学自身にはなかった。

コントに於ける、知識の神学的から実証的への歴史的発展――そこにこそかの段階があったのである――は、デュルケムに於ては、宗教からの認識の社会的発生として、再生される。二つの知識形態の段階上の推移は、知識一般のもつ発生条件の問題にまで変更される。従って、そこではもはや知識の歴史的段階などは問題となる余地はないだろう。尤も、原始民族の知識と文化民族の知識との間にはたしかに或る意味での段階的な隔りはなければならぬであろう、吾々の思惟の仕方と原始民族のそれとは根本的に別だということこそはデュルケム自身が証明する処の当のものであるのだから。だがそれにも拘らず、吾々文化民族の思惟の仕方一般を明らかにするためにこそ、抑々原始民族――但し現存の原始民族――の思惟の仕方が、方法論上、必要であったということを忘れてはならない。と云うのは、社会学の方法は一般に、「歴史的方法」ではなくして「比較的方法」でなければならない、と考えられる*。そうすればそこではすでに、今云った――文化民族の知識内での――段階は平面化され、段階性を失って了っているではないか。