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イデオロギーがいろん
イデオロギー概論
戸坂 潤
第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日
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因みに、マンハイムによれば、存在が観念を通り越したのがイデオロギーであり、之に反して、観念が存在を通り越したのがユートピアである。
さて、こう云って来ると、マンハイムのイデオロギー論は、マルクス主義的イデオロギー観の、マンハイム的名辞を用いた、一つの展開であるかのように見えるかも知れない。けれども、この外貌上の・個々の・一致にも拘らず、その根本的な性格に於て、之は全く反マルクス主義的であるだろう。尤も、それには何の不思議もなかった筈だが。
マンハイムの歴史主義に於ける歴史の概念は、それがトレルチの系統にぞくすることからも想像出来るように、無論決して唯物史観ではない。歴史的とは彼にあっては「あくまで精神的」であることであり、イデオロギーの下層建築も「精神的なものに外ならない。」そればかりでなく、下層建築と上層建築とは、即ち多少とも物質的なものと優れて精神的なものとは、「交互的」関係に置かれている。と云うのは、上層と下層との区別は、単に全く精神的なるものと多少とも物質的なるものとの区別にしか過ぎず、それは存在の構造上の被規定者と規定者との区別でもなければ、分析方法や叙述方法の上での優位者と劣位者との区別でもない*。