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イデオロギーがいろん
イデオロギー概論
戸坂 潤
第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页
だから著しい歴史的諸事件は皆、群衆による運動として結果しているのである。で歴史の運動を結果する動力は、群衆に、而かも群集の心理に、横たわる。この群衆の心理を知らなければ、歴史の真の原因は見出すことが出来ず、従って歴史は不可解な謎となるだろう。――処が群衆の心理の特色は、それが決して理性的な論理を以ては動かないという点に存する。そこで支配するものは本来の推論ではなくて一種のアナロジーに過ぎず、原始人に見出だされると同じい感情の論理に外ならない。ル・ボンは之を「集合論理」(logique collective)と名づける。「群衆精神」(l'※(サーカムフレックスアクセント付きA小文字)me des foules)は至極衝動性や暗示性に富み、丁度催眠状態と同様な一種の無意識現象を呈するのであるが、其処に動くものが、この集合論理なのである。この論理に於てはもはや理知はその部署を捨てているから、その限り夫は一種の神秘的な力によって動かされる。論理は信念――信仰――に場所を譲らなければならぬ。群衆の精神を動かすものは宗教であるということになる。だから歴史を動かすものも亦、今群衆を動かした処の宗教である。