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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

正に理論家によって持たれる処の、歴史の一つの説明原理――仮説――に外ならない。ルカーチはこの仮説に実在性を与えようとする、無論その実在性は明晰に把握され得ない、だがともかくも彼は之に信頼を置く。そこで彼の歴史理論――階級闘争理論――は、階級意識理論の単なる裏に過ぎなくなるわけである。彼によれば弁証法は歴史に於てしか、即ち又階級対立の意識に於てしか、存在しない。その限り、彼は結局に於て、歴史――社会――を意識によって説明しようとする形態を取らざるを得なくなるのである。

ルカーチは社会人の心理・意識形態としてのイデオロギー――今は夫が彼の階級意識の概念で置き換えられたのだったが――を、個人の意識から区別しようとする余り、之を社会人の心理――例えばプロレタリアの心理――からさえ引き離して了う。かくて社会人の心理は実は何の実在性をも持てないような理論家専用の一つの作業仮説にまで浮揚する――丁度マクドゥーガルの集団心と同様に。かくて社会人の心理は、個人の心理から絶縁されて了う。処が事実は、社会に於ける個人が、社会に住むことによって持つ処の意識が、「社会人の心理」