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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

範疇の発生学は同時に又範疇の系譜学でなければならぬ、と云うのは、範疇はその社会的発生によって、その歴史的系統に従って成長しなければならないのである。ギリシア人の社会はギリシア的神話を産み、それがギリシア的世界観=哲学として統一を有つためにはギリシア哲学的諸範疇を有たねばならないが、それは交通手段の乏しかった古代に於ては云うまでもなく、例えば印度哲学的(バラモンの又は仏教の)或いは支那哲学的(儒教の又は易の)諸範疇とは無縁であらざるを得なかった。処がこれ等の範疇の諸系統は今日に至るまで、夫々の系統として殆んど独立に伝承されているのが事実である。今日に至ってもまだ、欧州哲学的諸範疇――それはギリシア哲学的範疇の系統的発展であって今日の吾々にとって唯一の技術的・自然科学的・社会科学的・範疇である――は、東洋哲学的諸範疇と決して共軛化されていない、まして二つのものの一致は望むことが出来ない。なぜなら欧洲哲学的範疇は現代の――文化民族による――社会全般の生きた機関(オルガノン)であるに反して、東洋哲学的範疇はすでにその成長を止めて、単に古典的な範疇として古典学的な意味をしか有っていないからである*。