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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

実践的世界観と云ったが、古来どれ程観念的な世界観であっても或る意味に於て実践的でなかったものはない、却って多くの観想的世界観は、それが観想的であればこそ或る意味の実践性を主張する。原始仏教や儒教の「実践」哲学がそれである*。之に反して実践的世界観は、実践的であり得るが為めに却って一見観想的にさえ見えることがあるだろう。純粋自然科学の発達――そこから人間の技術が発達して来た――はそう云う世界観の齎物なのである。で、実践的世界観とは、云わば道徳的「実践」などを重んじる世界観のことでは必ずしもない、それはあくまで、科学的「実証」を重んじる世界観であったことを注意しておこう。

* ソクラテスはギリシア哲学(それは元来自然哲学であった)の内にその「実践」哲学を導き入れた。処がプラトンに来れば明らかになる通り、このギリシア人にとって最も秀でた実践は正に「観照」なのである。――「実践」が如何に非実践的であり得るかが之でも判ろう。

さてそうすると、実践的世界観から発生する又は夫が根柢に横たわっている哲学は、当然実証性を有った哲学――但し無論かの「実証哲学」のことではない――、即ち実証科学と連帯を有った哲学、であらざるを得ない、ということになる。