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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页
神性の惨虐、虚無。
私は息を呑んだ。
丸太はまた、次から次から流れて来る。菜っ葉服はただ、上下槓を下げまた上へ放つ。これしも黙々と、秒をはかり、吋を見、じいいと深く、それも瞬時に圧えて、殺して、すうっと放つだけである。
だが、何とすばらしい截断であったろう、虐殺で。
静かに佇んで、私は身じろきひとつしなかったが、また目ばたきひとつしなかったが、私は確に心でわなわなした。だが、何という快感。恍惚たる無上の残忍感。
私はまったく美女の胴体を、その戦慄の対照として想像した。ああ、このいい知れぬ怪異の殺人。
そればかりでない。私は流るる丸太に自分自身の肉体をすら感じていた。
じゅう……である。
何といい気持ちだろう。ああ、一思いに殺られたら。うんともすんともいう間はないのである。じいいと深く寸のめりに喰い込まれて、すうっと放たれる。その刹郡の快感。恐らく突かれ、斬られ、射たれ、搏れ、絞められ、毒されるあらゆる死難よりも、どれだけ恐ろしくて、また安らかであるか。無量苦と無量喜。
廻転する截断刃は、劉喨と、また、音なき音を深める。何という霊妙な誘惑、誘惑、誘惑。