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フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页

青空文庫

」

「温厚ないい町長さんじゃないか。風采の立派な、ちょっと珍らしいよ。」と、これは私だ。

「そりゃあ押し出しは立派でがしょう。知れたもんじゃありゃせん。お客さんが這入られた。今度は頼むだ。ちぇっ、莫迦にしていやがる。」

「まあ怒るなよ。七、八人でも僕らが来たからいいじゃないかい。」

「いけません。」

「夕飯でも早く持って来さしたらどうだい。」少々心細くなる。

「そりゃ差し上げます。でがすがな。三百人の二分の一で、百五十人だ。よしきた、やっつけで、暗いうちからコツコツコツコツコツ、なにしろ、切り込みでも容易なこっちゃねえんで、やっと用意が出来て、さあいつでも来やがれとなったところで、たった八人、それもあまりものの。」

「おいおい、よしてくれ、またまた、あまりものかい。」

「へへえ、それでも癪に障りやがるんで。や、こいつあ失礼を、はっはっ。」

「笑いごっちゃないじゃないか。もう支度は出来ているんだろう。」で、じりじりとなったのはF君である。

「いや、昨日の御行啓の後でして、なにしろ、樺太庁のお役人は来る、新聞記者は騒ぐ、それに軍人、商人、何々団員で、すっかり満員の大盛況で、実は家内中へとへとになったところで、今朝の切り込みで、それで見事にスカ喰ったんですからな。