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フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

「女性」プラトン社、1925(大正14)年12月号~1927(昭和2)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,698 字 · 293 页

青空文庫

とにかく「桐の花」だけは済まそう。」

「そうだな。そうしてくれるとありがたいな。僕も申訳がたつ。」

じゃあということになって、一人は別室の厠へゆく。一人は談話室のテエブルを引き寄せる。

卓上には、水芋のような、青い縞入りの葉が大きいのと小さいのと二枚。南洋植物の一鉢である。電燈の光も静かである。

「おおい、おおい、ボーイ。げっぷ、うえっぷ、げっ。」

ひょろひょろと、車輛会社が、セルの着流しで。

「や、御免。御勉強ですかな。これはお邪魔で。」

困ったと思ったが、そうもいえず、

「や、まあ、おかけなさい。」

「へえ、御邪魔なら、どうも失礼で。――帰りましょかな。」

「まあ、いいさ。」

「坐りましょかな。」

「どちらでも。」

「どちらでもとはおひどいな。そのなア、支那服の一件じゃで、夕方、申しときましたろが。お恨みに存じ申すと、面目がつぶれた。わしの一分が相立たん。おおい、ボーイ。そこできっとし返しにまいると。なア、そうでしたろがな。いけませんかな。げえっぷ、うう。」

「やりましたね。また。」

「へえ、どうもなア、いやにその浪の音がな。どもならんというておりますわい。」

「ははあ、弱ったね、それじゃ。