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ちょうさきかん
中井正一評論集
中井 正一
中井正一『中井正一評論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:調査機関、図書館に生きる道、図書館の未来像、二十世紀の頂における図書館の意味、脱出と回帰、探偵小説の芸術性、芸術の人間学的考察、美学入門、絵画の不安、スポーツの美的要素。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 页
時代のものの考えかたをもってかためたようなものである。さらに、この自由通商主義がようやく大工業主義、あるいは、ブロック資本主義に移っていくにしたがって、いわゆる機械時代が出現し、集団主義の時代がはじまろうとするにあたって、個人の個性がだんだんその自由をせばめられ、だんだん個人が分解し、集団の圧力の下でうめきはじめ、もだえはじめ、自我分裂が起りはじめたのである。
この線にそって、生まれてきたのがベルグソンの哲学、あるいは、ハイデッガーの哲学となってきたともいえるのである。
この時代の知識人は、多かれ少なかれ、ダダイズムのいうところの、ただ自分に向って、「いやだ、いやだ。」と駄々ッ子のように、かぶりをふりつづけるところのものがある。それがいやならば、では、どうしたらよいのかという積極的な結論はまだもっていないのである。しかし、それがそうであってはならないことだけがわかっている。それは切実であり、ほんとうにまじめでもある。にもかかわらず否定のない、ただ現実の拒否だけに終るところの悲しい魂がそこには残るだけである。
自分から抜けだしたい自分の弱さにあきあきしていながら、しかも、脱出しきることのできない嘆き、これが現代の自我のほんとうの姿ともいえるのである。