轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごじゅうのとう
五重塔
幸田 露伴
「国会新聞」1891(明治24)年11月~1892(明治25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,316 字 · 111 页
ところ、飛石の画趣に布かれあるところ、梧桐の影深く四方竹の色ゆかしく茂れるところなどり繞り過ぎて、小やかなる折戸を入れば、花もこれというはなき小庭のただものさびて、有楽形の燈籠に松の落葉の散りかかり、方星宿の手水鉢に苔の蒸せるが見る眼の塵をも洗うばかりなり。
上人庭下駄脱ぎすてて上にあがり、さあ汝も此方へ、と云いさして掌に持たれし花を早速に釣花活に投げこまるるにぞ、十兵衛なかなか怯めず臆せず、手拭で足はたくほどのことも気のつかぬ男とてなすことなく、草履脱いでのっそりと三畳台目の茶室に入りこみ、鼻突き合わすまで上人に近づき坐りて黙々と一礼する態は、礼儀に嫻わねど充分に偽飾なき情の真実をあらわし、幾たびかすぐにも云い出でんとしてなお開きかぬる口をようやくに開きて、舌の動きもたどたどしく、五重の塔の、御願いに出ましたは五重の塔のためでござります、と藪から棒を突き出したように尻もったてて声の調子も不揃いに、辛くも胸にあることを額やら腋の下の汗とともに絞り出せば、上人おもわず笑いを催され、何か知らねど老衲をば怖いものなぞと思わず、遠慮を忘れてゆるりと話をするがよい、庫裡の土間に坐り込うで動かずにいた