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にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
低い御影石の門柱に「明智探偵事務所」と、ごく小さな真鍮の看板がかかっている。そこをはいって、ナツメの植込みに縁どられた敷石道を一と曲がりすると、小ぢんまりした白い西洋館。玄関の呼鈴を押せば、直ぐさまドアがあいて、林檎のような頬っぺたをした詰襟服の愛くるしい少年が顔を出した。これも「吸血鬼」事件でおとなも及ばぬ働きをした少年助手小林である。
幸い、明智は在宅であった。神谷はこころよく応接間に通され、名探偵と初の対面をすることになったのだが、彼がちょうど応接間へ通ったころ、門前にもう一台の自動車がとまった。そして、その中に眼を光らせていたのは、なんと高梨家の執事と称する、白髪白髯の怪老人ではなかったか。
神谷は少しも気づかなかったけれど、相手の方では門前をうろつく、怪しげな青年を見逃さなかった。いや、老人はそれ以上のことさえ知っていたかもしれない。彼は神谷の跡をつけたのだ。そして、彼が明智探偵事務所へはいったのを見届けたのだ。
老人は車をとめて、少しのあいだ考えごとをしていたが、やがて懐中から手帳を取り出すと、その紙を破り取って鉛筆で何かしたため、それを運転手に渡しながら、