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にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
「小林? ああ、あの小僧かね。女中部屋にいるんだよ。僕が連れて行って上げよう」
怪物は、すばやく文代さんのあとを追って、恐ろしい力で彼女を抱きしめたまま、無理やり階段を降りて行った。
「さあ、見るがいい。小林も女中も、あの態だ。よくお寝みになっているんだよ」
彼は女中部屋のドアをあけて、文代さんに中を覗かせた。見れば、彼のいう通り、二人のものは、床の上に長々と、気を失って倒れている。むろん悪魔の麻酔剤の効果である。
文代さんは叫ぼうとした。叫んで近隣の救いを求めようとした。だが、いつの間にか、彼女は、唖になっていたのだ。怪物の手の平が、ギュッと鼻口を覆って、呼吸さえ思うようにはできなかった。
「コレコレ、そんなにジタバタするんじゃない。いい子だからね。今に楽にしてあげるからね」
恩田は文代さんをしめつけたまま、まるで人形でもあつかうように自由自在にした。
「君はお人形さんになるんだよ。ほら、ここにちょうど人形箱が置いてある。この中へ、今度は君がお人形さんの身代りになってはいるのだよ。すると、僕が二階の窓から合図をする。その合図に従って運送屋がこの箱を受取りにくるんだよ。