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にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
だが、読者も知る通り、このとき明智はまだ「人間豹」のメーク・アップを洗いおとしていなかったのだ。
「アッ、先生!」
とうとうそれがわかった。小林少年は叫びざまピョコンと立ち上がった。おやおや、今まで気絶していた人間に、突然こんな活溌な動作ができるものだろうか。
それを見ると、名探偵の不安にとざされていた頬にも、サッと喜びの色がのぼった。
「おお、小林君、よくやった。よくやった」
明智は立ち上がった少年に飛びついていって、感謝にたえぬもののように、その肩を抱き、その手を握りしめた。
「まるで親子再会の場だね。いったいこれはどうしたわけなんだ」
恒川氏があっけにとられて尋ねる。
「いや、僕の予想が的中したんだよ。僕は決して嘘をつかなかった。喜んでくれたまえ、もう文代は無事だ。恩田を捕える見込みも立った、シャーロックはむだにならなかったよ」
明智は勝利に酔っているのだ。
「そいつは目出度い。だが、奥さんが無事なことは、さっきからわかっているじゃないか。まさか殺されているんじゃないだろう」
恒川氏がじれったそうに、例のマネキン人形を指さす。
「ところが、僕はあれを人形だと思い込んでいたのだよ。