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にんげんひょう

人間豹

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页

青空文庫

「恒川君、僕の発明品が役に立ったぜ」

「なんだか面白そうな話だね、いったいどんな発明なんだい。その昼間は白、夜は黒っていうのは」

警部が好奇の眼をかがやかした。

「自動車尾行器とでもいうかね。自分で直接尾行できない場合、相手の行方をつきとめる仕掛けなんだ。車のナンバー・プレートなんてものは、替えようと思えばいつだって替えられるからね。それに番号はわかっていても、車の所在がなかなかつきとめられぬ場合がある。そこで僕の発明なんだが、それはね、クレオソートを一杯入れて大きなブリキ缶に、丈夫な取手をつけて、そいつを自動車の後尾の車体の下へちょっと、引っかけておきさえすればいいんだ。ブリキ缶の底には針で突いたほどの穴があいている。そこからポタリポタリと、大げさにいえば、細い糸のようになって、クレオソートが地面にしたたるという仕掛けなのだよ」

「そして、そのしたたったあとを、探偵犬につけさせようってわけだね。シャーロックの役目のほどがわかったよ。だが、白だの黒だのっていうのは?」

「昼間は色のないクレオソート、夜は光の反射をさけるために黒いクレオソート、つまりコールタールを使用するんだ。