轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
雪ばかりではない。レビューの最終場面に用意してあった金と銀との幅広いテープがキラキラと輝きながら、一本、二本、三本、ほどけて天井から垂れ下がってくるかと見る間に、たちまち、篠つく雨の烈しさで、数十本、数百本の金銀の帯が、へんぽんとして舞台目がけてふりくだった。
背景も、舞台上を右往左往する人々も、覆い尽すかと思われる金銀の雨、五色の雪、その目もあやにきらびやかな舞台の天井には、花を降らせる大格闘が、猛獣の咆哮を伴奏に、いつ果てるともなくつづけられた。
舞台には、降りしきる雪紙が、いつかうず高くつもっていた。ふと気がつくと、その雪の上に、雨滴のようにポトリポトリと、したたっているものがあった。まっ赤な雨であった。したたるたびに、雪紙はみるみる血の色ににじんで行く。
「アッ、やられたっ。血だ、血だ」
人々は愕然として叫び出した。
天井では、豹の爪が、勇敢な道具方の若者を傷つけていた。その傷口から吹き出す血潮が赤い雨となって、雪紙を染めたのだ。
若者はもう死にもの狂いであった。このままじっとしていたら、絞め殺されるばかりだ。どうせ死ぬ命なら、この怪物を道連れに、一か八か、命がけの冒険をやってみようと決心した。