轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

のぶこ

伸子

宮本 百合子

「改造」1924(大正13)年9月号~1926(大正15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 页

青空文庫

彼女は悲しくも、腹立たしくもなかった。その程度を越して、髄まで傷けられた感情で冴えかえった。

多計代は、

「黙っていちゃあ分らないよ」

と云った。硬ばってしまったようで、伸子は口がきけなかった。

「……私の考え違いだったらあやまりますがね」

暫くして、伸子はかすれたような声で咳払いし、夫に云った。

「……あなた、あっちへいらしって頂戴」

母が佃に謝れるわけはない。佃が、自分の夫となったというだけの因縁で、このような屈辱を堪えるわけはない、と伸子は思った。

「いらっしゃい」

佃は、腕組みをしたまま、

「うむ」

とうなった。彼が不決断でいるうちに、多計代が、

「話もすまないのに、お前の勝手でそんなことはさせられません」

と、云った。

「――でも母様は、後へ引けない方でしょう?」

「引くわけがないから引かないのです、――お前のように自分が悪いと思わない者はない!」

激情的な意地っ張りで、多計代は伸子に謝れ、謝れと強いた。これから一切、家庭に関するらしいことは書かないと誓えと迫った。それは伸子にとって、不可能なことであった。今、かりに気やすめの謝りや誓いをしても、それは、いつか必ず破れることだ。