轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

のぶこ

伸子

宮本 百合子

「改造」1924(大正13)年9月号~1926(大正15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 页

青空文庫

そんな瞬間、言葉は空虚に感じられて恥しい。二人は自然黙りがちになった。佃は、歎息するように呟いた。

「――旅行でもして来たら、君の心持もそのあいだに変るかと、楽しみにしていたんだが……何にもならなかった」

「ね」

泣き出しそうになって、伸子が云った。

「自分だっていやよ、こんなの――本当にいや!……でも、どうにも仕方がない。――あなた、御自分にわかる? あなたが、どんなに可愛くて、憎らしい、憎らしい人だか」

伸子は「にくらしーい」と、節のつくほど力をこめて云って、涙を落した。

三時頃、親戚に泊りがけで行っていた祖母が帰って来た。程なく父も帰った。彼らはやっと救われた。父はアイスクリームの瓶を、伸子に振って見せた。

「ほーら! いいだろう? 佃君歓迎の意を表してね」

椅子から立って、挨拶した佃に向って、彼は愛嬌よくつづけた。

「ホテルででも晩食をやろうかと思ったが、考えて見ると、君はずっと洋食攻めだったろうと思ってね。まあ今夜は一つ、あぐらでくつろいだ方が却ってよかろう」

食卓で、父と佃とはいろいろの関西の都会について話した。祖母は、息子や孫夫婦にかこまれて、至極満悦に見えた。