轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

のぶこ

伸子

宮本 百合子

「改造」1924(大正13)年9月号~1926(大正15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 页

青空文庫

とよは何か、微かに表情をした。伸子はそれを感じ、笑いに紛らして云った。

「――もっとも、私みたいに家にいつかない人を当にはできないね」

四オンスめの糸が五六本、細いわくになって伸子の手頸に絡みついている時、佃が部屋から呼ぶ声がした。とよはあわてて頭を下げながらいざりよって、毛糸をとりのけた。

佃は机の前にいた。

「何御用?」

「――一寸」

「何なの」

伸子は机の横に立って夫を見た。佃は脚に毛布を巻きつけている体を椅子の上で反すようにして、伸子をじっと眺めた。眉をよせ、額を皺にし、悲痛な眼付でなおも見ながら、垂れている伸子の手を執った。伸子は彼のそういう表情が何となく居苦しかった。

「何なの、御用は」

「――今夜は少し真面目な話があります」

伸子は佃の執っている手を引込めた。

「じゃあちょっと待って頂戴ね」

伸子は隣室へ椅子をとりに行った。行きながら、楽しみなような、見当のつかない不安なような気がした。何を彼は云おうとするのであろう。

「少しそっちにやって――そう、有難う」

伸子は斜に彼と相対する位置に椅子を置いた。

佃はやや暫く、沈黙したまま腕組みしていたが、やがてかたわらから、四つに畳んだ懐紙をとり出した。