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かちうんまけうん

勝ち運負け運

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页

青空文庫

「極め?」

「うむ。清算だ」

と僕は鷹揚に頷いて、

「今日まで約半年の間、僕は徹頭徹尾に欺かれていた」

と思い知らせてやった。懇意づくでも、斯う附け込ませると癖になる。

「欺いたって次第じゃないんだけれども」

「君は人を欺く上に自ら欺くのか?」

「仕方がなかったんだよ。正直に言えば、君は附き合ってくれまい?」

「当り前さ。それだから瞞して引き廻したんだ」

「しかし嘘を言って単独行動を執るよりも宜いだろう? そこを買ってくれ給え。無論僕が悪いんだから、あやまるけれど、同じ瞞すにしても友情的だ」

と菊太郎君は弁解に努めた。僕は成程と思ったが、同時にこれだからいけないと気がついた。直ぐに感心して堪忍する気になる。矢張り言うべきことは、この際厳しく言って性をつけて置く方がいい。

「実は僕は豊子さんの問題の時にも極めをつけて置きたかったんだ。君は何う考えているか知らないが、僕は君のお蔭で豊子さんに嫌われたんだぜ。自分の決心通りに勉強していれば、山の手の烏になんか見更えられはしなかったんだ」

「あれは君の責任だよ。済まないと思っているから、将来君の為めに犬馬の労を執ると堅く約束して置いた。