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かちうんまけうん

勝ち運負け運

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页

青空文庫

それまではその余裕がなかったのらしい。して見ると恋愛なんてものは全く贅沢の沙汰らしい。

「僕は肥立ちになってから考えたんだ。迚も助かるまいと思ったのが癒ったんだから、天未だ我を棄てず、して見れば例の方も成功するだろうという直観だ」

と菊太郎君は又直観を振り廻した。

「君は直観を考え出すのかい?」

「直観が考え出させるのさ」

「然うだろうね。同じ嘘でもその方が理窟に合っている」

「嘘なんかつかないよ。直観で成功に定っているんだから、万一にも纏まらないようなら世話人が悪いって意味さ」

「君、人に物を頼んで置いて、そんな勝手なことを言うものじゃないよ」

「責任を負わせるんだ」

「負わないよ、僕は」

「それじゃ今更卑怯にも後へ引くのかい?」

「引きはしないけれど、間違えば責任になるんじゃ迷惑する。僕だって物好きでやるんじゃない」

「しかし好い直観のある方が君だってやり宜いだろう。直観で奨励してやるんだ」

「死ぬようなことを言っていて癒ったじゃないか? 君の直観が当るものか? 演説をやりながら失禁していたんだから、大きなことは言えないぞ」

と僕は極めつけてやった。丈夫になると、お互にもう直ぐ我儘が出る。