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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页
「誰がそんなことを言うんですか?」
と僕は菊太郎君を睨んだ。一緒に遊んでいた時だった。
「その見当よ」
「菊太郎君」
「何だい?」
と応じた菊太郎君は目で拝んでいた。実は五年から六年へかけて、僕は菊太郎君をグッと圧していた。勉強をしなくても、天分が物を言い始めたのらしい。
「ひどいじゃないか? 僕は甲が随分あるのに」
「加減したんだよ、一寸」
「一年の時から乙ばかりだなんて、加減にも程がある。僕はいつでも君よりか好いんだ」
と僕は我を忘れて詰めよっていた。
「それは嘘だろう? いつでも好いなんてのは」
「本当だよ」
「兄弟だもの、似たり寄ったりさ」
「違う」
「君」
と菊太郎君は僕の手を取った。
「何だい?」
「男子の一言」
「しかし君こそ嘘をついている」
「それじゃ君はもう義経じゃないのか?」
「さあ」
「何うだ?」
「宜いわよ、もう。喧嘩になるなら」
と豊子さんが仲裁してくれた。
しかし僕は悪い印象を与えているように思ったから、後日、菊太郎君に内証で、豊子さんに五年の時の通信簿を見せた。信用を挽回する積りだったけれど、豊子さんはナカ/\もって理想が高い。
「甲が唯五つね」
「今度は七つか八つあるんですけれど」