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かちうんまけうん

勝ち運負け運

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页

青空文庫

僕は然う大した暴れものでもなかった積りだが、同窓会へ行くと、屡※(二の字点、1-2-22)こういう意味の昔馴染に油を取られる。

成績のことで豊子さんに侮られたのは僕の生涯の中の一転機だった。僕は今更ながら発憤した。こんなことでは駄目だと思った。しかし勉強をしない約束がしてあるから、全甲を取る努力をする前に、一応菊太郎君の理解を得なければならなかった。親友の間柄だから、これがナカ/\むずかしい。ウッカリ持ちかけると、豊子さんをくれないと言い出すに定っている。

「菊太郎君、僕達は来年中学校へ入るんだから、もう子供じゃないだろう」

と僕は遠廻しに当って見た。

「中学生だって子供だよ」

「しかし小学生とは違う。勉強しなければいけない」

「それは違うけれど、来年の話じゃないか? 来年のことを言うと鬼が笑うよ」

「僕は中学生になったら、魂を入れ替える。こんなことじゃ仕方がない」

「君は変なことを言うんだね」

「どうして?」

「僕が成績のことを加減して話したものだから不平だな」

「うむ。実はそれだよ」

「僕と同じならいゝじゃないか? 同じだという約束だった」

「しかし君の方がいゝように吹聴している」