轻松读懂日语经典作品
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页
「本当に遠慮しないでね。相手が伯爵の令嬢だろうが、百万長者の独り娘だろうが、全力を尽すから、大舟に乗った気でいてくれ」
「大舟は懲りた」
と僕はもう人を当てにしない。心の問題は心と心の取組だ。側から動かせるものでない。
本科三年間の学生生活は平穏無事に進んだ。学業は可もなく不可もなかった。全然兵隊で行った。菊太郎君との交際は昔ながらに親しい。何でも相談した。毎日往ったり来たりだった。無為平凡の裡に卒業が近づいた頃、菊太郎君が一波瀾を起して単調を破った。それが僕の一身にも可なりの影響を及ぼしている。菊太郎君は一向異状も見せなかったが、或晩、
「日出男君、僕は君に頼みがある」
と言って、僕の前へ平伏した。
「何だい? そんな他人行儀の間柄かい?」
「実は具合が悪いんだ」
「何処が?」
「身体じゃない。察しが悪いね。苟くも男が両手をついて頼むからには恋愛問題だよ」
「ふうむ?」
「僕は矢田さんの久子さんを貰わなければ生きていられない」
「え?」
「矢田さんの久子さんだ。君も知っているだろう?」
「知らない」
「虎の門でよく会う人だ。そら、この間婦人雑誌の口絵に出ていた」
「ふうむ」