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ぜんのけんきゅう
善の研究
西田 幾多郎
「善の研究」弘道館、1911(明治44)年2月6日発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,777 字 · 243 页
神は宇宙の外に超越せる者であって、外より世界を支配し人に対しても外から働くように考えることもでき、または神は内在的であって、人は神の一部であり神は内より人に働くと考えることもできる。前者はいわゆる有神論 theism の考であって、後者はいわゆる汎神論 pantheism の考である。後者の如く考うる時は合理的であるかも知らぬが、多くの宗教家はこれに反対するのである。何となれば神と自然とを同一視することは神の人格性をなくすることになり、また万有を神の変形の如くに見做すのは神の超越性を失いその尊厳を害うばかりでなく、悪の根源も神に帰せねばならぬような不都合も出てくるのである。しかしよく考えて見ると、汎神論的思想に必ずこれらの欠点があるともいえず、有神論に必ずこれらの欠点がないともいわれない。神と実在の本体とを同一視するも、実在の根本が精神的であるとすれば必ずしも神の人格性を失う事とはならぬ。またいかなる汎神論であっても個々の万物そのままが直に神であるというのではない、スピノーザ哲学においても万物は神の差別相 modes である。また有神論においても神の全知全能とこの世における悪の存在とは容易に調和することはできぬ。