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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

それを注視していると、彼等は一匹ずつ順々にスーッと宙に浮かんでは、後から後へと繋がって天井の方に上昇してゆくのであった。

(おお、彼等は逃げ出したぞ!)大隅学士は狼狽した。絶好のチャンスが、今逃げつつある。彼等をこのまま逃がしてはならない。そう思った彼は傍にいた一匹に向って、勇敢にも声をかけた。

「……アアもし。……貴方がたは何者なのですか。われわれとは違った生き物だと思いますが、何者なのです」

その声を聞くと、彼等は俄かに上昇を中止して、またゾロゾロと下りて来た。そして大隅学士をグルリと取り巻いてしまった。しかし彼等は何とも返事をしない。

「……ああ皆さん。……僕は貴方がたの質問に答えた。だから貴方がたも僕の質問に答えるべきではありませんか。貴方がたは人間ですか。それとも霊魂ですか」幽霊と云いたいところを、すこし敬意を払って、霊魂と云った。

すると怪物の一団は、ゲラゲラゲラと笑いだしたように思った。そしてやがて待望の返事を大隅に与えたのだった。

“君に云っても分らないと思う。われ等はウラゴーゴルだ”

ウラゴーゴル? ウラゴーゴルとは何であろうか。大隅はその聞きなれない言葉を、忘れまいとして懸命に口の中で繰りかえした。