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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

研究員は、さあどうぞと挨拶をした。

大隅理学士は、器械に飛びつくようにして、受話器を頭に乗せた。

「ああ佐々君ですか。大隅ですよ。貴方が生きているなんて、全く夢のようだ。こんな嬉しいことはない」

佐々は向うで元気に返事をした。ウラゴーゴル星唯一人の人類であることを彼は誇っていた。

「君、さっきネ、辻川博士の本館がロケット仕掛けになって空中に飛び出したから、そういううちにそっちへ着陸するかもしれないよ」

「ちぇッ、そんなことだったか。……いや知らせてくれてありがとう。今なんだかウラゴーゴルのけだもの連中が、いやに騒いでいるんだ。じゃあ彼等は、そいつを見つけたんだな」

「そうかい。中にはシュワルツコッフ博士というのが二人乗っているんだ」

「なんだ、二人の博士。それは双生児かい」

「そうじゃない。一人は本物のシュ博士で、もう一人は他分偽せ者だろう」

「偽せ者? そうか。イヤ心当りがある。オヤオヤ、今到着したよ。なるほど変な恰好のロケットだ。ああウラゴーゴルの群衆が、ロケットめがけてドンドン飛んでゆく。たいへん殺気だっているが、これア少し変だネ」

地球盗難

大隅学士は、ウラゴーゴル星にいる佐々砲弾から、辻川博士本館のロケット到着の模様を無線電話によって聴きながら、そこになにか非常事件が起ったらしい報告にうちおどろいた。