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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

と同時にパッと一閃して煌々たる火焔が立ちのぼった。

そのうちにも、また飛行機は引返してきた。こんどはまた一層低く飛んでいるらしい。ポーンとまた別の音が、正門脇の高い壁のところから聞えて、それと同時に、また目もくらむような火焔が立ちのぼった。

爆撃! 博士邸がいま飛行機から投げ下ろす爆弾によって爆撃されようとしているのだった。しかし幸にも、爆弾は邸内には落ちず、一弾また一弾、邸の外側に落ちては、盛んに爆発するのであった。

邸内では愕いたものか、裏門の潜り戸がギイッと明いて、中から一つの黒影が飛びだしてきた。その黒影は潜り戸の傍を離れてだんだん通りの方へ出てきた。出てこないと炸裂する爆弾が見えないからであった。

そのとき、また一閃して、こんどはドッと騰った火焔が、一本の松の木に移って、パチパチと烈しく燃えだした。そしてなかなか消える模様がなかった。……裏門を出た黒影はいよいよ愕いた様子で、焔に包まれた松の木の方に走りでてきた。火影にハッキリ照らしだされたところを見ると、それは年齢のころ、三十を二つ三つ越したかと思われるほどの頑丈な男だった。そして変に足を引いていたが、それも道理、彼の右脚は膝頭のところから下がない。