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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

博士の眼が、俄かにらんらんと輝きだした。「おお、あそこへ行く……B18号のロケットが……。待て待て、こっちへ呼びかえさにゃ……」

博士は正面の配電盤にとびついて、起動スイッチをポンポンと入れていった。電流計の針がブルッと震えたかと思うと、弾かれたようにピーンと右の方へ一閃、たちまち針が飛んでしまった。

「ううむ。なんたることじゃ」

博士は獣のように、低く唸ると、どっかと座席の上に腰を下ろして、両手で頭を抱えた。

「う、うッ……分らん、分らん。……B18号はもう取戻せないのかッ!」

すると俄かにリンリンリンリンと、けたたましい警鈴の響! 顔をあげると、大きな赤色灯が生物のように激しい息をしていた。

辻川博士はサッと顔色を変えた。

そして座席から立ち上ろうとしたが、このとき遅し、博士の身体は宙にグルッと一廻転して、壁の上にドタンと叩きつけられた。――ロケットが急に独楽のようにクルクル廻りだしたのであったから……。

「ううむ……」

博士はムックリ半身を起すと、蜘蛛のように壁ぎわにピタリと身体をつけた。もう二十センチどっちかへよったら、生きた高圧電気の線に触れるところだった。