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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

と、岩蔵は妙なことを自慢しだした。

大隅学士は、そこで肚を決めた。たしかに彼の云うのは尤もであると、今この怪事件を村人に知らせたとすると、それは徒に騒ぎを大きくするだけで、武夫少年一家の苦痛を増させることはともかくも、この怪事件の真相を知ることが困難に陥りはしないかと考えた。だから当分のうち、村人には知らせない方がよいのだ。そう決心した彼は、岩蔵に河村の看護を一任したのだった。

「……ナーニ大丈夫ですよ。傷の手当てさえして暫く安静にさせとけば、元気になるのにはそう掛りませんよ」

そういって岩蔵は、河村をソッと背負うと、自分の小屋の方へ搬びだしていった。

これで大隅学士の重荷は、すこしばかり軽くなった。――さあ、後には、数々の大変なことが控えているのだった。まず第一に、佐々砲弾のロケットの行方である。

「……佐々のロケットを探してやらなくちゃ……」

彼は、電子望遠鏡の前に立って、その操縦桿をいろいろと操りながら、天涯を隈なく捜査していった。ところがどの位探しても、ロケットの姿は入ってこなかった。電子望遠鏡もいいけれど、何しろ相手がどの位の距離にあるのか分らないと、動いている物体に焦点を合わせることは困難を極めるのだった。