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よるのこうず
夜の構図
織田 作之助
「婦人画報」1946(昭和21)年5月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,068 字 · 125 页
伊都子はシュミーズの下は、何も纒わず、裸だった。
「お風呂で洗濯したの、代り持って来なかったのよ」
信吉は顔を赧くした。
…………
「誰も来ない……? 誰も来ない……?」
「来ない、大丈夫だよ」
そう言ってやると、伊都子は安心したように狂おしく燃えて行った。これが娘かと信吉は呆れていた。
やがて、どれだけ時間がたったのか、二人はがっくりとして、お互い浅ましい顔をそむけた。
「私、恥しいわ。浅ましい気がする。まるで動物みたい。――人間てみなこんなのでしょうか」
しかし、伊都子は信吉の手を握って、離そうとしなかった。信吉の手は白く繊細だった。
「まるで女みたいな手ね」
「ほかに取得はないけど、手だけは綺麗だよ」
「この手、想いだすわ」
伊都子は信吉のその手で体を触られることがうれしいようだった。そして四時頃までいて、
「あ、もうこんな時間……。伯父さんもう酔がさめる頃だわ」
と、あわてて出て行った。
伊都子が伯父の酔のさめる時間まで知っていることが、信吉には不思議だった。
出て行きしな、伊都子は、
「明日はもうお別れね。私、後悔しないわ。明日の朝、一緒に食事してくれません?」