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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

グナイストが、何を伊藤博文に教えたか。それは、さきに第二章で述べたとおりであるが、「外交、制度、経済のことは、決して議院のくちばしを入れさせてはならぬ。欽定憲法でもって、人民に命令すべきである。大臣の権限を強くすべきである。兵権はすべて天皇の権利に帰すべきである。天皇の権利を強くするためには、官吏を、なるべく両院に入れておくのがよい。根本の権利は、十分に政府へ取っておくほうがよろしい。」というのである。グナイストの教えたところは、このような専制主義であった。

日本において、天皇の権力万能主義が確立したのは、プロシァ人の教えたところであって、日本の古代からの歴史に、基礎をおいたものではなかった。憲法の「告文」や「勅語」は、その点をゴマ化している。それらのなかには、あたかも天皇の権力は、国がはじまって以来あったもののように、宣言してあるけれども、それは、国民を欺瞞したものである。

伊藤のおこなった、この策謀によって、当時、人民の熱望しつつあった民主的立憲政治は、まったく排斥されてしまったのである。また、この策謀によって、まったく踏みにじられたのであった。