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てんのう
天皇
蜷川 新
誰が日本民族の主人であるか
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页
天皇の権力万能主義をおし通すことに、全力をそそいだ専制主義の政府であった。政府は人民を奴隷として、日本民族を危地に追いこんだのである。人民もまた、卑怯であった。
しかし、今日の日本では、「神代」はすでに否認された。天皇は「人間であり、人間とともにあること」に、天皇自身によって定められた。そうして人間は、「法律のまえに平等であること」が、憲法をもって保障された。一七〇〇年代に、フランスの哲学者ヴォルテールがとなえた、「人は出生によって区別されない」という思想は、今日では、日本の憲法にも、明らかにされているのである。
日本人が、真に人間平等の道理をさとったならば、おなじく人間である名門の人びとが、とくに崇拝されなければならないという旧思想は、当然に、消えてなくなるはずである。しかしながら、人民には、まだその自覚が十分にできていない。政府や保守政党の人には、旧制をあこがれる人がすくなくない。それを改めることは、緊急を要する。
しかしながら、民主政治を呪う旧式の保守人には、この事業は、まかせらるべきものではない。憲法と国際法と、および世界の大勢とを理解する真剣な新人によってのみ、その事業はおこなわれうるのである。