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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

その維新をもつて、日本人は、日本史上いまだかつてない重大事件であるものと称し、天皇に権力のあることが、日本の本態であるとこじつけて、天皇の権力は万世にわたつて継続するもの、またすべきものと誇称していた。しかしながら、それは一時の夢であつた。

一八六七年、すなわち慶応三年以来、天皇権力主義は持続されたけれども、一九四五年(昭和二十年)には、日本の主権は人民の手に移ることが、国際的に定まり、一九四七年には、憲法をもつて、「主権在民」は確立したのである。一九四五年までの期間は、わずかに七十九年である。

日本は、はじめから天皇統治の国であつたという明治以後の勅語などは、偽りであつた。そのうえ、永遠にわたつて、日本は万世一系の天皇の統治する国であると称したことも、またおなじく偽りであつた。「天壌無窮の皇運」という、明治以来、流行の勅語は、仮想の神託から出たものであつたが、明治以来、一時は、それを全人民の信念のごとくに、国をあげて世界に吹聴していたことは、かえりみて、日本人の非科学的な性格をしめすものであつたことを、われらは嘆き、かつ悲しまざるをえないのである。