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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

「朕、明治十四年十月十二日の詔を履み、立憲の政体を大成するの規模は、固より一定する所ありと雖も、其の経営措画に至ては、各国の政治を斟酌して、以て採択に備へるの要用なるが為めに、今爾をして、欧洲立憲各国に至り、其の政府又は碩学の士と相接して、其の組織及び実際の情形に至るまで観察して、余蘊なからしめんとす。」

この勅語は、何を意味するのか。それは、当時の民間人は、イギリス流、フランス式の立憲制度を、日本にみちびくことを望んだのであった。大隈のごときは、その案をつくって、それを同志にしめしていたのである。その執筆者は、主として矢野文雄であるといわれている。大隈らは、イギリス流の立憲制を日本におこない、人民の声をもって、薩長政府をくつがえそうと企てていたのである。彼は、天皇権力主義に反対していたのである。

これにたいして、伊藤、岩倉らの政府人は、天皇権力主義によって、薩長政府の永続をはかっていたのである。伊藤らは、人民に権力の移ることは、維新の効果をほろぼすものであると、となえていた。そうして、そのためには、ドイツ、オーストリアなどの東欧風の憲法を、日本におこなうことを、あらかじめ決意していたのである。