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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

ドイツのカイゼルが伊藤に言ったということばのごときは、あまりにも無責任である。カイゼルは日本人を理解せず、日本人をバカにしていたもののように、私にはとれる。

日本人が、プロシァの憲法になぞらえて、天皇の権力のみを絶対のものとなし、ドイツ風の国家主義を日本に輸入したことは、日本の国民性をドイツ化し、日本を「傲慢な軍国」となし、それが、日本民族にわざわいしたのであった。天皇もまた、そのため禍をこうむられたのである。

プロシァ風の憲法にくらべて、このたびの米人の起草になる日本憲法は、憲法として、はるかに合理的にできている。不備のところも多くある。それは人民の意思をもって、適当に修正すればよいのである。人民には主権がある。

ともあれ、明治以後の天皇は、右に述べたような事情の下に、憲法上、日本の歴史にその比を見ない絶対的な権力をもつことになった。過去の天皇は、けっして、そのように権力の権化でも、また権力の神でもなかった。日本の歴史には、いまだかつて、このような事実は見られない。聖徳太子の憲法には、天皇の地位のことなどは定めてはないのである。「君は天、臣は地」