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おんなきしゃのやくわり
女記者の役割
野村 胡堂
「文芸倶楽部」1930(昭和5)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,039 字 · 32 页
非常な危険を冒して、機密書類を盗み出した犯人が、無意味な悪戯書をして証拠を残すような愚かな事をする筈は無い。私は、この二行の文字から、少くともこれだけの事を判断することが出来ると思う――」
「例えば」
「第一に、この犯人は、機密書類の『写し』を取って、真物を返す積りで居るらしい。『暫らく借りて行く』と書いたのはその為だ。機密書類の謄本を取って内容だけを盗もうとする者は、さて、何んだろう。私は現内閣を瓦解させる目的でやった、政敵の仕事か、そうでなければ、機密書類の大きい新聞価値に目がくらんだ、新聞記者の仕業だろうと思う。この機密書類のホンの一部分を公開しただけでも、天下は驚倒して蜂の巣を突いたように騒ぎ出すだろう。其場合には、機密書類の真物を手元へ置いて、家宅捜索を受けたり、起訴されたりするのは愚かな事だから、コピーを取ったらさっさと元の場所へ真物を返すにきまって居る。第二に、この犯人は、十中八九まで、新聞記者だろうと思う、――君は変な顔をするが――決して私は当てずっぽうを言ってるのでは無い――」
花房一郎の顔には、何んとなく自信が充ち満ちて、一句、一句、千種十次郎を説き伏せるように迫って来ます。