轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年6月~7月、9月~10月、1932(昭和7)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,038 字 · 133 页
蘭堂は鬼ごっこの鬼の様に、両手を拡げて、抜け目なく身構えした。
「君達は両方から挟みうちにしたまえ、ナアニ、大丈夫だ。あいつは武器を持っていないのだ。ちっとも怖がることはないぞ」
蘭堂の指図に従って、二人の書生が一人ずつ、左右から寝台の向う側へ迫って行った。
ゴリラ男は今や絶体絶命であった。うしろに窓はあるけれど、頑丈な鉄格子だ。寝台の下をくぐって逃げようにも、その向うには蘭堂が立ちはだかっている。しかも、左右の敵は、太いステッキを振りかざして、刻一刻迫って来るのだ。
だが、この野獣は、少しも騒がなかった。兇悪なゴリラの顔に、ゾッとする笑いを浮べて、ギラギラする目で蘭堂を睨みつけた。
「ワハハハ……、俺が武器を持っていないって? 武器って、ピストルか、それとも九寸五分か。オイ、蘭堂、貴様これが見えないのか。ホラ、こんなすばらしい武器が」
ゴリラが破れ鐘の様な声で云った。ギャアギャア叫ぶばかりだと思っていたら、この猛獣は人間の言葉を知っているのだ。
彼はそう云ったかと思うと、目にもとまらぬ早さで、寝台の上にかけ上った。オヤッ、こいつ何をするのだ。
「ホラ、これが俺の武器だよ」