轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
04 第四分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 页
……しかし、信義と仰せあらば、何をか疑いましょう。若君はお返しする。しかし、長政どのへお返ししたい。長政どの御夫妻にお眼通りの儀、かならず計らってくれますか」
さきに退いた大勢の中に、長政も立ち交じっていたのである。藤吉郎のことばを聞くと、子の愛に惹かれた彼は、自制を失って、それへ駈け寄って来るなり罵った。
「長政はこれにおるが、何も知らぬ幼児の生命を扼して、ものをいおうとは、卑劣ないたし方。そちも織田家の一方の将、木下藤吉郎というほどの者ならば、さような奸策はみずからに恥じたがいい。――ともあれ、万寿の身を、こなたへ渡したうえにて物を申せ」
「オ。長政どの、おられましたか……」
藤吉郎は、あいての血相にも関わらず、いんぎんに辞儀を施した。――といっても、依然、万寿のうえにまたがって、それへ短剣の先をさし向けたままにである。
「木下殿。お離しなさい。かくの如く、殿御自身、おことばのある以上は、御不足もござるまい。万寿さまの身を、それがしの手へ」
と、かたわらから藤掛三河守も声をふるわして云った。
藤吉郎は、それを横耳に聞きながしたまま、浅井長政の方を見つめていた。