轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
09 第九分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 页
なぜというに。
柴田軍はあくまで一方的侵攻を方略としていないのである。神戸信孝の岐阜軍が蹶起の機の熟す日を待つこと久しいのであった。かたがた、伊勢の滝川一益も攻勢に転じ、勢濃二州がこぞって秀吉の背後を脅威するに至る日をもって、即ちここの二万余勢の総兵力も、一挙、なだれ打って、西浅井、東浅井の諸砦を攻めつぶし、秀吉を長浜、佐和山の一隅へ追いつめ、完全なる終局の勝利をかたく期しているものだった。
すでに、岐阜の信孝からは、
(近々に、不測を起し、勢州とも諜じ合わせ、秀吉のうしろを奪るべし)
と、密書をもって、勝家まで告げに来ているのである。
それにたいし、もし秀吉が長浜にいるものなら、秀吉は早やその気配を察知して岐阜、柳ヶ瀬の両面に備えているものと見てよい。そしてこちらも充分その要意あるべきだし、もしまた秀吉が、今なお江北前線にあるとすれば、信孝の起つべき時はまさに今を措いてはない。
柴田軍としてはそのことに先立って、極力、秀吉をここに膠着せしむべき方策を取り、信孝が作戦に有利な情勢を速やかに展開しておく必要もある。
「不明かのう、その一事は」
玄蕃允は、もういちど、口の裡で繰りかえした。