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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页

青空文庫

万彦は己の知っている神仙のことについてはなした。備前の国赤磐郡太田村大字万富小字梅という処に山形尊と云う盲人があった。その盲人はその時三十歳であった。その盲人の尊は少年の時音楽を習おうとしたが、記憶力が弱くて何を教わっても覚えられなかった。某人が「安芸の厳島の弁財天へ、火のものを絶って祈願を籠めると、必ず覚えがよくなる」と云って教えた。尊は十二三であった。彼はその詞を信じて七日間火のものを絶って遥かに祈願をしたが、すこしも験がなかった。尊は失望して死のうと思い、同国和気郡大字板根と云う処へ往ってそこの橋の上から身を投げようとした。ところが、和気郡の熊山と云う山に住む神仙が来て、尊を伴れて往って種種のことを教えてくれた。神仙は銀製の長さ二寸ばかりあるトッコンと云う楽器、水晶で造らえた亀の甲の形をした一寸五分ばかりのもの、鉄扇、剣の四種の品をくれた。神仙は尊に向って、「十年間はこのことを他言してはならん」と云った。尊はその命を守って十年過ぎても何人にも云わなかった。ところで明治二十八年になって、やはり同国御野郡金山の人に「神の告げがあった」と云って、三人の者が伴れだって訪ねて来たから、尊も始めて神仙の話をして聞かせた。