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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
広巳はお高に走りかかった。
「この妖魔」
広巳の刀はきらりと閃いた。
「わっ」
お高は一声叫んだなりに倒れてしまった。広巳は倒れたお高の上にまた刀を揮った。
「よくもよくも、家に泥をぬりやがったな」
広巳は肩で呼吸をした。広巳の刀には血が赤く笑っていた。広巳はその刀を揮りまわしながら岡本を尋ねて走った。
「くそ」
広巳は定七に伴れられて家を出た。広巳も定七も黒の紋附羽織を被、袴を穿いて、何か儀式へでも臨む日のような姿をしていた。広巳が品川の警察へ自首して往くところであった。
風はますます強く雲も濃くなって、今にも雨が添いはしないかと思われるような天候になった。帽子を冠っている広巳は、その風のために時どき帽子を持って往かれそうになった。羽織の袖は靡き、袴の裾はまくれあがった。
広巳は蒼白い沈痛な顔をして黙々と歩いていた。定七は広巳の後を歩いていた。定七は広巳から眼をはなさなかった。二人は八幡祠の前を往っていた。
「おや、若旦那だ、ちょうどよかった、若旦那」
はすっぱな女の声がどこからか飛んで来た。広巳は重くるしい眼をやった。お鶴と品のある中年のな女がいた。お鶴は平生の調子であった。