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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
を追ったような結果にならないともかぎらないと云う懼れがあった。菊江はすたすたと歩きながら悪漢の手から逃れる工夫を考えた。
そこには瓦を葺いたばかりでそのままになっている建てかけの家があった。菊江はその建物の中に隠れるつもりかそのままその陰へ入って往った。菊江を追って来た背の高い痩ぎすな男は、続いて菊江の身を隠した家の下へ往って眼をやった。玄関の土間らしい月の光の朦朧と射した柱に添うて、細面の女が大きな舌、六七寸もありそうに思われる大きな長い舌をだらりとたれて立っていた。背の高い痩ぎすな男は、それを見るとわっと叫んでのけぞるように身を反して逃げだした。
政雄は錠前をそのままにしてある雨戸をがたびしと開けて、物に追われるように土間へ入るなり、あわただしく後をびしりと閉めた。そこには商売用の雑貨を並べた台が左右にあった。政雄はその間の狭い暗い処を通って急いで見附の座敷にあがった。そこには老人夫婦の寝ている隣の室に点けた電燈がぼんやりした光を投げていた。政雄はそこの二階の六畳を借りているので、平生であったならそのままそこの右側に見えている梯子段をあがって往くのであるが、その晩はそのままあがらないで、