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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
と、なんだか嘲るように云った。友人はちょと苦笑して、
「痴」
と、云ってから私を促して外へ出た。星の多い静な晩であった。
「君に逢わせる人がある」
小さな暗い坂を越えて、私の村へ渡る渡場へ出た時に友人が云いだした。
私は友人に跟いて、渡場から右の方へ折れて往った。そこは小さな人家がごたごたと並んでいた。一丁ばかりも往ったところで、左側にちょっとした白い練塀のある家があった。友人は前にたってそこへ入って往った。それが彼の女の家であった。
「お八重さん、珍らしいお客さんを伴れて来たよ」
土間が裏口へ抜け通った、このあたりの住宅の一定の形式となっている家で、座敷はその右側になっていた。その右側に洋燈の明るい室があって、障子を開けると、彼の女が一人裁縫していた。
「――先生」
いつも首を右にかしげて、私の教えるのを聞いていた童女は、もう、すっかり女になっていた。彼女は友人ともちょいちょい冗談を云いながら、茶を出したり、己で菓子を買いに往ったりした。
その晩、彼の女が友人に対する馴れ馴れしい調子から見ると、その時分から、もう、とうに関係があったかも判らないし、友人の細君の云った詞の意味も判るが、由来、そんなことに疎い私は、軽いあっさりした女の調子が、すっかり気に入ってしまって、ばかに愉快であったから、みょうに躁いでおそく