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にっき
日記
宮本 百合子
22 一九三八年(昭和十三年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,910 字 · 14 页
一月二日
ストコフスキーという者の指揮ぶりを見てハハンと思う。ああいうのは一種のパントマイムであって、あの位の演奏者の技術がなければストコフスキー存在出来ない。あの気どりかた! 一種の大俗物である。かえりに林町へまわりシャケをたべて来る。
一月二日
〔発信〕第一信。こういう内容の第一信とはMも予期していなかったであろう。
起きて下に降りたら栄さんもう大分あみものをすすめている。けさはパンをたべる。それから私はすこし手紙をかく。お礼や鶴公の就職にやら。すぐ夕方になって、一寸郵便を出しにゆき、夕飯。そして栄さんかえる。もう風呂に入ってねようとしているときバラさん高島田でやって来る。手拭をもって。ひさよろこんでいる。入毛をかりる約束などしている。十一時すぎかえる。シュトルムの「みずうみ」をよむ。一寸よろし。
やはり念頭をはなれぬのはいかに生活すべきかということである。勉強の方法とテーマとはありあまる。それにはこまらない。だが、どうして金をとってゆくか。この問題の解決は容易でない。又生活の形をどうするかということも。林町の裏へ家を建てさせてそこに住む。――フム。しかし、この時期の生きかたが実に実に名状すべからざるほど大事であるからくさりかかる危険に近づくことは出来ない。